|
2011年 05月 03日
※2009年、東京・ポレポレ東中野での公開時にお寄せいただいたリレーブログを再掲載します。
アレックス・ザルテン(元 Nippon Connection プログラマー) 信じたい可能性と信じがたい流れの隙間で、「へばの」が咲いている。 私はこの映画の響きを忘れられない。 松島政一(現代映像研究会) 桑原広考くんから、「木村が映画を撮りました。身内だけの試写をしますので、是非 来てくれませんか?」のメールをもらったのは、4月だったか、5月だったか…、とある映画のパンフにかかっているか、着手しかけていたか? 試写会場の阿佐ヶ谷の公民館で、Goサインの電話かメールを受けたような気もするが。「えっ? あの木村? 文洋ちゃん?」と、メールを返した覚えもある。不意打ちだったよな。後世畏るべし。 でも、居心地悪かったんだよなぁ。あちゃ~、まずいとこに来ちまったよ、と。映画の冒頭、吹き荒れる暴風雪…の映像が延々続くあたりまでは良かった。「あたりまで…」って、ほとんどファーストカットだけど。暗い土蔵にこもってまさぐりあう二人。ごろんと転がった女の陰毛。本当にそこまでだった。 一生懸命作っているのは分かる。そこに疑いは無い。だが、全然、「来ない」のだ。バーンと、「安全地帯」がかかってからこっちは、早く、スタッフ、キャストのテロップ上がって来い…と、らしき句読点のたびに思ってる始末だった。 桑原くんがスピリチュアル・ムービーズに参加する経緯を、以前に井土さんから聞いていた。「井土さん、吉岡さんが作っているような映画が作りたいんですよ!」と。だが、目の前でもぞもぞと遅滞しているこの映画は、俺が知ってる井土映画と、微妙に…どころか、ハッキリと似て非なるものだ。 上映後の飲み会は荒れた…と書きたいところだが、荒れないんだよな、これが。木村氏、自分に入り込んじゃってて、批評どころか、会話にもならないのだ。吉岡睦雄だけが、「いや、俺は、来た、来た~っ! と思ったよ」と、一人、興奮してる。「こういう仲間を増やしてかなきゃな」と、グル・井土紀州は静かに笑ってる。 俺としては、真面目にやってる人に、すまん! と言うしかない。ここにいて、ごめんなさい、というところだ。だけど、この場は、色々答弁すべきとこじゃないのか? こういう意図で撮ったけど、どうでした? いや、ここは何と言われても譲れないとこですよ、とか。身内なんだから。スタッフ試写なんだから。何が何と言ったって、木村がカメラを向けたかった…、延々撮っていたかった、あの暴風雪の画が無ければ、何も始まらなかったはずの感情がうずまいてる、今、この場じゃねぇのかよ! ちょっとうとうとして、目が覚めたら、桑原氏、「松島さんが寝ているうちに、この映画のテーマは『母恋い』ということになりましたから」だと。何言ってんだ、オメェたちゃ! ラストにドバーンと出てくる「子宮」というタイトルも含めて、さっぱり分からんぞ。 苛立ちにも似た割り切れない想いを抱えて、井の頭線の終電に接続する時間をにらんで、総武線で帰った。始発まで付き合うのには、あんまり申し訳ない俺だった。俺にとって、そこまで肩入れ出来るものではなかったんだよ。「狂気の海」パンフという新しい遊びが、もう頭の中を渦巻き始めてたんだ! 松島さん、帰るんですか…という白けた空気を背に、居酒屋のフロアを後にした。井土さんの言う「こういう仲間」にゃなれなかったんだよ。 そして、数ヶ月。自分の非力を思い知った「狂気の海」パンフの傷も癒えずにいるところに、「『へばの』ポレポレでやることになりました! あれから、大分 手を入れました」と、桑原氏からのインビテイション。懲りねぇな、こいつら! 俺の思想は、10億ぐらいかけなきゃ、スクリーンというキャンバスにゃ描けねンだ! の黒澤明じゃないが、木村が木村自身を知るためには、これだけやんなきゃおさまらなかったんだな。これだけ深く釣り糸を垂れなきゃ。スタッフ、キャスト、巻き込んで…。今また、観客や、劇場まで巻き込んで…。 だがな、木村、こいつは、本当は、描き始める前の作業だろうよ。壮大な「エピソード1」に観客をも巻き込む覚悟なんだな。もう、失語は許されねぇぜ。本気なら許される…ってもんでもなかろうよ。 ポレポレのスクリーンで、(「手を入れた」ところでどっちみち…どころか、より強化されてるかもしれない)鬱陶しい木村の自意識に、俺は再会するのだろう。いつも通り、言いたいこと言わせてもらうぜ。言いたくさせてくれよな。「ちょっと、この後、用事あるから…」なんて、見え透いた嘘言わせんなよ。朝まで説教だぜ! 胸倉つかまれる覚悟はしてるんだから。 ************************************ 『へばの』英語字幕版上映+USTREAM 同時配信 2011年5月15日(日)モーニング&レイトショー上映 ◎モーニングショー 【開場】 10時30分 【開映】 11時00分〜 【座談会】 12時45分〜 【会場】 光塾 COMMON CONTACT 並木町(東京都渋谷区渋谷3-27-15 光和ビルB1) ※上映終了後に休憩をはさみ、その場で、参加を希望される方々と、監督・スタッフにより座談会を一時間程度行いたいと思います。参加は無料です。 ◎レイトショー 【開場】 20時50分 【開映】 21時10分〜 【会場】 オーディトリウム渋谷(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F) 【各回入場料】 予約:1,000円 / 当日:1,200円 【ご予約・お問い合わせ】 E-mail:teamjudas@ss.lomo.jp ※各回共、映画上映と同時にUSTREAM 配信を行います。 www.ustream.tv/channel/hebano-goodbye ※経費を差し引いた収益の全額を被災地の義援金として寄付、もしくは物資を購入して届ける予定です。 送付先、届け先に関しましては現在検討中、終了後に会計収支とともにをHP上で報告します。
by hebano_goodbye
| 2011-05-03 11:55
| その他
|
ファン申請 |
||